「Desafinado」は、1958年にアントニオ・カルロス・ジョビンの作曲によって生まれたボッサノヴァの楽曲です。ポルトガル語で「 desafinado 」とは「音程を外している」という意味ですが、この曲は単なる不協和音ではなく、意図的に音程をずらしたり、コード進行に変化を加えたりすることで独特の魅力を作り出しています。ジョビンは、当時ブラジル音楽界では一般的だった伝統的な調性を打ち破り、新しい音楽表現の可能性を探求したパイオニアと言えるでしょう。
作曲家アントニオ・カルロス・ジョビンとボッサノヴァの誕生
アントニオ・カルロス・ジョビン(1928-1994)は、ブラジルのリオデジャネイロ出身の作曲家でピアニストでもありました。「ボサノヴァの父」とも呼ばれるジョビンは、伝統的なサンバやショービンの要素を取り入れつつ、ジャズの影響を受けた洗練されたサウンドを追求しました。彼の音楽は、メロウで親しみやすいメロディーと複雑なハーモニーが特徴であり、世界中で多くのファンを獲得しています。
ジョビンが作曲した「Desafinado」は、ボッサノヴァの代表曲の一つとして広く知られています。この曲は、ジョビンの音楽の特徴である、心地よいメロディーラインと複雑なコード進行の融合が際立っています。特に、サビの「Desafinado, desafinado, se é assim que você sente…」という歌詞部分は、聴く者の心を惹きつけます。
「Desafinado」の音楽構造とその魅力
「Desafinado」は、A-B-A-C のシンプルな曲構成を採用しています。
セクション | 特徴 |
---|---|
A | 静かでメロウなメロディーラインと複雑なコード進行 |
B | テンポがアップし、躍動感のあるリズム |
C | Aセクションの繰り返し |
Aセクションでは、ジョビンの作曲技術が光ります。シンプルなメロディーラインでありながら、コード進行は複雑で独特です。この曲は、ジャズの要素を取り入れたことで、従来のブラジル音楽とは異なる新鮮な響きを生み出しています。
Bセクションでは、テンポがアップし、躍動感のあるリズムが展開されます。この部分は、聴く者を踊りたくなるようなエネルギーに満ちています。
CセクションはAセクションの繰り返しで、曲全体をまとめる役割を果たします。
「Desafinado」の歌詞と意味
「Desafinado」の歌詞は、歌い手の恋人が音程を外して歌うことに対する愛情表現が込められています。一見すると奇妙に聞こえるかもしれませんが、この曲は、愛する人を受け入れる寛容さと、不完全さを含め全てを愛するというメッセージを伝えています。
ボサノヴァの広がりと影響
「Desafinado」は、世界中で広く聴かれるようになり、ボサノヴァの音楽を海外に紹介する役割を果たしました。この曲は、多くのミュージシャンにカバーされ、映画やテレビ番組などにも使用されています。ジョビンの音楽は、今日でも多くの人に愛されており、彼の影響はブラジル音楽だけでなく、世界の音楽シーン全体に広がっています。
ボサノヴァの誕生は、1950年代後半のブラジルを舞台としています。当時のブラジルでは、サンバという熱狂的な音楽が主流でしたが、若手ミュージシャンたちは、より洗練されたサウンドを求めていました。彼らは、ジャズの影響を受けつつ、伝統的なブラジル音楽と融合させた新しい音楽ジャンルを生み出そうとしていたのです。
ジョビン以外にもボサノヴァを代表するアーティストには、スタン・ゲッツ、ジョアン・ギルバート、トム・ジョビンの名前が挙げられます。彼らの音楽は、世界中で愛され続けています。
「Desafinado」は、ボサノヴァというジャンルを象徴する楽曲と言えるでしょう。この曲は、心地よいメロディーラインと複雑なコード進行の融合によって、聴く者に深く感動を与える力を持っています。ジョビンの音楽は、今日でも多くの人に愛されており、彼の影響はブラジル音楽だけでなく、世界の音楽シーン全体に広がっています。
もしボサノヴァを聴いたことがないなら、「Desafinado」から始めてみてはいかがでしょうか。きっとその魅力にハマってしまうはずです。